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DIST.51 「モダンWebデザインワークフロー」参加レポート

フロントエンドエンジニア

阿部 萌夏

投稿日: 2025.08.29

  • デザイン
  • フロントエンド
  • イベントレポート

2025年8月22日(金)にDIST.51 「モダンWebデザインワークフロー」を開催しました。

この記事では、当日のLTやセッションの内容をご紹介します。一部スライドも掲載しているので、ぜひチェックしてみてください。

  • 「デザインにブレーキをかけないエンジニアの動き方」
    kinew CTO Katashin(Katashin)
  • 「インフラ視点で見る"ありがたい"フロントエンド 〜運用の笑顔を産む10のTips〜」
    諸田 裕紀(MOROTA Yuki)
  • 「大炎上プロジェクトを0から3ヶ月でリリース品質に変えたデザインエンジニアの極意」
    AppleWorld Inc. 執行役員、D-THREE Inc. 代表取締役 Designer、Front-end Engineer、Back-end Engineer 菅原 陸
  • 「モックドリブンのすゝめ:動きで伝えるデザイナーとエンジニアの連携術」
    Studio, Inc. Designer / Front-end Engineer 小原 暢

デザインにブレーキをかけないエンジニアの動き方

まずはLTからご紹介します。はじめに登壇されたのはkinew CTO Katashinさんです。

Katashinさんは「エンジニアとして、デザインにブレーキをかけない動き方」をテーマに、実践していることを共有してくださいました。大切にしているポイントは次の3点です。

  • まずはベストなデザインを
    • デザイナーが実装を考慮してくれたとしても、それは本当に正しいか考える
    • 実装可能性を判断するのはエンジニアの役割
  • 技術的な懸念は後で
    • 実装上の懸念をはじめに言うと、デザイナーの発想にブレーキをかけてしまう
  • ノーと言わない
    • 実装がめんどくさいだけ? 時間がかかるだけ?
    • 本当にできない場合は、その理由を丁寧に説明する

インフラ視点で見る"ありがたい"フロントエンド 〜運用の笑顔を産む10のTips〜

続いて諸田 裕紀さんです。インフラエンジニアの視点から「こんな設計だと運用が楽になる!」という10個のTipsをご紹介いただきました。

  • 調査系3選
    • 構造化ログ
    • ユーザーコンテキスト
    • セッションリプレイ
  • 監視系3選
    • エラー監視
    • パフォーマンス計測
    • Health Check
  • デプロイ系4選
    • Feature Flag
    • 環境変数管理
    • ビルド情報埋め込み
    • 段階的でグレード設計

デバッグ地獄から解放され、そのぶんUIを作る時間を生み出すことが「ありがたいフロントエンド設計」へと繋がる。運用時の改善にどう取り組むべきか、その視点を大切にされていました。

大炎上プロジェクトを0から3ヶ月でリリース品質に変えたデザインエンジニアの極意

ここからはセッションパートです。最初に登壇されたのは、AppleWorld Inc. 執行役員、D-THREE Inc. 代表取締役 Designer、Front-end Engineer、Back-end Engineer 菅原 陸さんです。

菅原さんは「大炎上したプロジェクトを、どうやって3ヶ月で“リリース品質”へと立て直したのか」について、実際の事例をもとに、プロダクトを最速で前進させる秘訣を解説してくださいました。

ポイントは「意思決定の速度をとにかく上げること」。そのための基本方針は次の3点でした。

  • プロトタイプを最速で作る
  • 最短でMVPを完成させる
  • デザインとフロントエンド、サーバーサイドレンダリングを強くリンクさせる

さらに重要なのは、プロジェクトが確実に進んでいることが、ビジネスサイドに見えること。これによって相互の安心感が高まるのだそうです。

どんなプロジェクトでもスタートダッシュを大切にされているということで、まずは形にすることが最重要とおっしゃっていました。

モックドリブンのすゝめ:動きで伝えるデザイナーとエンジニアの連携術

続いては、Studio, Inc. Designer / Front-end Engineer 小原 暢さんです。

モックを軸としたデザインで、チーム全体の認識共有と創造力を促す、実装の実例的ワークフローをご紹介いただきました。

アニメーションの動きを伝える際に、「シュッと!」といった抽象的な表現が良いのか、それとも具体的な指示が良いのか?という問いを出発点に、両者のメリットが挙げられました。

  • 抽象的な指示のメリット
    • 相手の能力を引き出せる
    • 指示する側の引き出しにないものが生まれるかも
  • 具体的な指示のメリット
    • 時間を節約できる
    • 指示される側もする側も楽

ただ、コミュニケーションの手段として言語化に頼りすぎると、どうしても言語化しやすいアウトプットに偏ってしまいます。そこで視覚と動きで伝えるモックドリブン開発が役に立ちます。メリットは次の通りです。

  • 企画とデザインのヒントになる
  • クライアントが喜ぶ
  • 打ち合わせの段階で見せると、案件の主導権を握れる
  • モックを作っておくと、別案件の再利用にもなる
  • 技術的な検証も事前にできる

さらに小原さんは、モックを作るうえでのルールとして「なるべく単機能・プリミティブにする」ことを挙げました。デザインもロジックも作り込むことで、日々の鍛錬にも繋がると語られていました。


以上、DIST.51 「モダンWebデザインワークフロー」の参加レポートでした。

過去の勉強会の動画はDISTの公式YouTubeチャンネルからいつでもご覧になれます。動画では資料だけでは伝わらない、スピーカーからの解説や実演シーンも見られます。オフラインの勉強会に抵抗を感じている方も、まずは動画から雰囲気を掴んでみてください。

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阿部 萌夏

フロントエンドエンジニア

北海道出身、2001年生まれ。専門学校を卒業後、フロントエンドエンジニアとして世路庵に入社。 普段業務で行っているSNS運用の経験も活かして、読んだときに絵が浮かぶような記事になるよう心がけていきたい。